機械では判別できない感覚による検査

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現在では機械によるわずかなキズや汚れを判別できる機械の活躍で効率は上がりました。
しかし、日本人の感覚による外観・美装に関してのこだわりは、海外の技術も機械もかなわないでしょう。

特に日本人の美意識には「職人」としてのできあがりへのこだわりが一番にあるのではないでしょうか。

機械では色の”にじみ”や”ぼかし”がこだわりではなく「ただの塗装ムラ」になってしまうはずです。
でもここが日本人のこだわりのポイントで、「漆器などの塗り物」や「繊維への染色加工」などで味わいが出てくるのです。
製品へのシール貼りなども「貼ってあるからいいだろ」という感覚のお国もあるそうですが、日本人は冶具を使用してまでキレイに貼りつけますよね。
この感覚(美意識)は日本人特有のものではないでしょうか。

また、アップル社の携帯音楽プレイヤー「iPod」のケースは新潟県の燕市の職人さんによる研磨であの鏡面仕上げ加工が施されています。
このこだわりは海外の方にしてみれば、使っているうちに”キズやヘコミ”などができてしまうであろう製品に対して過剰とも思えるこだわりですね。
違う職人さんは指先でなぞるだけで「どこにどれだけ」の研磨不足があるのか判別がつくそうです。
こういった製造業の現場では「職人さんの目」による判断が大変なウェイトを占めている気がします。
少量の生産にしても大量の生産にしても「経験豊かな目」によるピックアップや修正が行われています。

注意したい点は「人の目」による検査はある意味ファジー(あいまい)な判別になりがちです。
各検査員による「判別基準のムラ」も「作業環境の影響」も大きく、誰にもわかる統一された基準での判別にはない見方になります。
検査グループのリーダー的な方の基準を軸に進めていけば、全体のレベルアップやクオリティの維持も期待できます。

「使えればよし」とするお国柄の方々には、日本の製品は「芸術作品」として映っているのではないでしょうか。