非接触光学式3D計測は、対象物に物理的に接触せずに3次元形状を測定する技術です。光(レーザーや白色光)を対象物に当てて反射や散乱、または変形を観察し、それを基に3次元形状を推定します。以下に、その主な手法について述べます。
- レーザースキャンニング: レーザービームを対象物に当てて反射した光を検出することで、距離情報を得ます。1つの点だけでなく、レーザーをスキャンすることで対象の全体形状を3次元で再現します。
- 立体視: 2つの異なる角度からの画像を用いて、物体の深度を推定します。これは人間の視覚システムが距離を推定する方法と同じ原理に基づいています。
- 光セクショニング: レーザーや他の光源を用いて物体にスライス状の光を照射し、その交差部分の形状を計測します。これを多数のスライスに対して行うことで、物体全体の3次元形状を得ます。
- 光学的三角法: レーザービームや他の光を物体に当て、カメラでその反射光をキャプチャします。光源とカメラの位置関係から、物体の表面形状を推定します。
- 位相シフト法: パターンのある光(例えば格子状や縞模様)を物体に投影し、それがどのように変形するかを観察することで、物体の形状を推定します。
- 時間飛行法(ToF): 光源から放射された光が物体に反射して戻ってくるまでの時間を測定し、その時間から距離を推定します。
非接触光学式3D計測技術は、工業製品の品質検査、文化遺産のデジタルアーカイブ、医療・ヘルスケア(例えば歯科用途など)など、多岐にわたる分野で利用されています。
非接触光学式3D計測
|
|
レーザー式3D計測
|
|
【レーザー計測】
レーザー式3D計測は、レーザー光を利用して物体の形状や距離を高精度に計測する技術です。その原理は大きく以下のように分類されます。
1. 三角測量法
- 概要: レーザー光を物体に照射し、反射した光をカメラやセンサーで検出して距離を計算します。
- 原理:
- レーザー発生器から光を対象物に向けて照射。
- 光が物体表面で反射して戻る。
- センサーで反射光を検出し、レーザー光の出射角と反射角から三角形の幾何学を用いて距離を計算。
- 用途: 近距離で高精度な計測が必要な場合(例:3Dスキャナ)。
2. 飛行時間法 (Time of Flight, ToF)
- 概要: レーザー光が物体に到達して戻ってくるまでの時間を測定し、距離を計算します。
- 原理:
- レーザー光をパルス状で発射。
- 光が物体に到達して反射し、センサーに戻るまでの時間を計測。
- 光の速度 (約3×10⁸ m/s) を用いて距離を算出。 距離=光の速度×飛行時間2距離 = \frac{光の速度 × 飛行時間}{2}距離=2光の速度×飛行時間
- 用途: 長距離計測やリアルタイムでの測定(例:LiDAR、測量)。
3. 位相差法
- 概要: 連続波レーザーの位相変化を測定して距離を計算します。
- 原理:
- 連続波のレーザー光を照射。
- 反射光の位相を検出し、元の光の位相との差から距離を計算。 距離=λ×位相差2π距離 = \frac{\lambda × 位相差}{2\pi}距離=2πλ×位相差 ※ λ\lambdaλ はレーザーの波長。
- 用途: 高精度な計測が可能で、産業用3Dスキャナや品質管理に利用。
4. スキャン方式
- ラインスキャン: レーザーをライン状に変形させて一度に広い範囲を計測。
- ポイントスキャン: 点を一つずつ計測し、モーターやミラーを用いて全体をスキャン。
- 面スキャン: 複数のラインや点を同時に測定。
5. 実際の応用
- ものづくり: 製品の3Dモデリング。
- 医療: 人体の3Dスキャンや手術支援。
- エンターテインメント: ゲームキャラクターのモデリングや映画の特殊効果。
- 自動運転: 車両の周囲環境をリアルタイムに把握。
レーザー式3D計測は精度が高く、広範囲から微細な形状まで測定可能なため、様々な分野で重要な技術として利用されています。