材料、製法で機能開発進む-不織布産業

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不織布とは材料の細かな繊維を重ね合わせて、熱や水圧、機械的・化学的手法により結合させた多孔質のシートの事です。
一般的な織布製品と比べ、製造工程が短縮化され機械化による量産に適しています。

用途は衣料用品をはじめ衛生用品や農業・土木・建築資材、自動車内装材、生活用品など広範囲にわたります。
近年では医療関連や防災用途、環境や新エネルギー関連など新市場へ採用域を拡大しています。
業界では製造法の工夫や材料研究を進め、高品質・多機能・高付加価値製品の開発にいっそう拍車がかかっています。

原料の樹脂を直接ノズルから溶出して紡糸して連続した長繊維形成と絡合を1工程で行う「スパンボンド法」が開発され、
広幅不織布の高速かつ効率的な生産が可能になりました。

繊維結合にはエマルジョン系接着樹脂をフリースに含浸・吹き付けする「ケミカルボンド法」、
低融点の熱融着繊維を混合しロールで熱圧着し結合させる「サーマルボンド法」、
フリースを高速で上下する針で突き刺し物理的に絡合させる「ニードルパンチ法」、
高圧水流で繊維を絡ませ結合させる「スパンレース法」など機能や用途別に多様な手法が開発されています。

産業用途では工業用資材としてシール材や研磨・摩擦材などの材料に広く採用され自動車用途では内装資材向けに導入が進んでいます。
二次電池向け用途開発ではニッケル水素電池や電気自動車(EV)向けリチウムイオン二次電池のセパレーターや膜材で電力パワー向上や長寿命化への製品開発が進んでいます。
環境関連需要では細くて強い特性を生かしマイクロファイバーやナノファイバーなどの素材として微粒子濾過分野などで採用されています。
子供用・介護用紙おむつや使い捨てマスクなど、衛生用品への使用でも身近になっていますのでもうお馴染みですよね。