古来からの技法「透かし彫り」

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透かし彫りという技法は、金属・陶器・木材などに模様(文様)・文字・自然の風景などの細工を施すものです。

一般建築にも使われていて欄間や衝立などの彫刻細工もありますし、仏像や刀剣の装飾にも使われています。

透かしというのは、材料を図や模様の下書きに沿って切り出しておいてから彫刻で細工を施すことです。
文様自体に細工を施して余白はそのままにしておく”文様透かし”と、反対に文様の周りの余白を透かす”地透かし”という技法がある。

手前の装飾も凄いのですが、その裏側にまで加工や細工がしてあるのを見ると「お~。」と声が出てしまうほどです。
どのようにしたら、材料の反対側まで彫刻できるのでしょうか、裏返してやれるのなら理屈は分かりますが…。
中には外側の彫刻の中身にまた違う彫刻がなされているのを見ると頭が混乱してしまいます。

陶器の場合は、透かしの細工に時間がかかるため素材の湿度に差が出てしまい、歪みやヒビ割れにもつながってしまう。
成型して釉薬に漬けたら一気に焼き上げてしまうのではなく、平均的に乾燥してから焼成されてできあがる。
金属・鋳物などの材料には、鏨(たがね)や糸鋸などで文様を切り出して透かしを施します。

主に木材では杉、桐、檜などの木を原材料として作られています。
木目を活かした作品では、樹齢100年以上の木の年輪を巧みに利用して模様の演出をしています。
このように木目や彫りの太さ・深さを繊細に加減をして出来上がる透かし彫りは、まさに芸術品となります。

日本の木造建築物にある欄間は、美術品のように鑑賞ができて、家屋内の換気も出来るように利用されているのです。
これもまた、日本の職人技といえる技術ですね。