スコップとシャベル

園芸や穴掘り、雪かきなど様々な使い方のあるスコップとシャベルのお話です。スコップとシャベルには違いがあります。まずこの二つの呼び方ですが、地域によって呼び方が違います。大まかに言えば西日本では小型のものがスコップ、大型のものがシャベル。東日本では大型のものがスコップ、小型のものがシャベルです。どちらが正しいのでしょうか?スコップとシャベルのはっきりした違いは厳密に言うと足をかける部分があるのがシャベルで足をかける部分が無いのがスコップとされています。
更に厳密な違いがあります。園芸用に使われる土を扱う小型のスコップともシャベルとも呼ばれている道具です。実はあれはスコップでもシャベルでもありません。正式名称は園芸用こて、または移植ごてです。ですが、呼び方は一般的なスコップ又はシャベルで構わないと思います。
シャベルの歴史はとても古く紀元前から人が使い続けています。人の道具は時代と共に進化、発展していきますが、シャベルほどはるか昔から形の変わらない道具は珍しい位です。昔は鋤(すき)という農具で扱われていました。シャベルの進化としてはシャベルカーがあります。シャベルを大型、機械化したものでより多くの土を掘れますが、誰にでも扱えるものではありません。そもそも一般の方では用意することすら出来ません。ですので人はシャベルを使い続けています。余談ですが柄の取れた古い鋤を野外で鍋の代わりに使って鳥獣の肉や野菜を焼いたのが「すき焼き」の語源と言われています。
大型シャベルは時として戦いの武器にも使われていました。シャベルを振り回して敵を叩いたり、先端の片方を研いでシャベルで敵を斬ったという兵士もいました。金属の面も広いのでときには盾にもなります。第一次世界大戦ではシャベルが近接武器としては戦場で剣や槍よりも広く普及していたのです。先述した鋤も鍬や鎌と共に一揆のときに武器として使われていました。あくまでも戦場での使い方なので日常ではシャベルもスコップも振り回してはいけません。
農具にも武器にもなったシャベル、道具は使いよう、という言葉がありますがまさにその通りです。