カセットテープなどの磁性体について

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今ではあまり姿を見なくなったカセットテープ、しかしカラオケなどの愛好家の方々からは熱烈な指示を受けているようです。
それと「フロッピーディスク」も懐かしい存在ですよね。

こういったメディアは磁気によって音楽やデータなどの情報を記録していますが、磁気をどのようにすればこういったデータの記録や再生などができるのでしょうか?

*** 磁気でデータを記録するには…
まず「カセットテープ」の構造を見てみましょう。
カセットテープはテープ自体を構成するフィルム素材が使用されています。
このフィルム上に磁性体や添加剤などをコーティングしたものが使用されています。
※ 磁性体というのは、磁場・磁力に対して反応する性質を持った物質のことをいいますが、それぞれの物質によってこの反応の強さも変わってきます。
磁性体としてよく知られているのは主に「酸化鉄・酸化クロム・コバルト・フェライトなど」があります。

この磁性体の中でもテープなどに使用されているものは…
「酸化鉄」赤鉄鉱(ヘマタイト)酸化鉱物の一種で、顔料や宝飾品としても利用されています
二酸化クロム(クロム=金属元素のひとつ)が酸化したもので、テープには黒色の “酸化クロム-Ⅳ” が使用されています。
マグネタイト(磁鉄鉱ともいわれる)は火成岩に含まれる鉱物の一種で、強力な磁性体を持っていてマグネタイト自身が磁力を持つものもあります。
これらの磁性体を樹脂などの添加剤(接着剤)と混ぜ合わせて、フィルム上へとコーティングしていきます。

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上図のようにヘッドの磁力によって磁性体は「強弱」「方向」によって書き換えられたりします。
これを読み取り専用ヘッドによって “データ” として読み込まれ再生されていきます。

この仕組みは「フロッピーディスク」も同じ要領で、ヘッドが移動して「書き込み・読み取り」を行っています。
フロッピーディスクの場合は、データ情報のやり取りで “0”か”1″ といった情報を記録します。

全体の流れとして、「音」というデータはその振動を電気信号へと変換されて「ヘッド」によりテープへと記録されます、そのデータは読み取りヘッドによって電気信号として出力されてスピーカーなどで振動、つまり音声データとして耳に入ってくることになります。
消去用のヘッドから磁力をかけることで方向をバラバラにしてしまうことでデータの消去ができるのも特徴のひとつです。

使用される磁性体や添加剤などで性能も変わってきますが仕組みや構造自体は同じです。
そういえば学生時代には「ハイポジション」や「メタルテープ」などグレードが高い分 “お値段” も高いものでしたが、音質にこだわりたい人がよく購入・使用していました。

時代はCDに取って代わられまた音楽も情報(データ)も配信・通信といった形に変わりました。
情報を持ち運ぶ「メディア」も「テープ~フロッピー~ディスク~スティック(カード)」へと変わっています。
そのため「カセットテープ」「カセットデッキ」などの生産も一時落ち込んでいきました。

ただ一方で、先述のカラオケ愛好家の方々などは、曲の頭だしやサビの部分などをササッと出すのにカセットデッキを駆使されています、長年使い慣れているからということや早送りや巻き戻しなど感覚(直感)による操作がしやすいという手軽さもあるのでしょうか、根強いファンの方々も多いようです。

こういった声もあり、カセットテープの生産量の推移は近年わずかですが回復から上昇へと変わっています。
これはDVDなどのメディアが大容量・コンパクトではありますがデータの消失(蒸発とも言ってますが)があるためだそうです、これに比べ磁気テープの耐久性を見直す傾向にあります。
デジタル音源に配信サービスが主流となった現代では、かえってアナログレコード盤同様「ノイズ」を音として楽しむといったマニアの方にはたまらないもがあるようです。
かつてのパソコンソフトもテープでの「読み込み」「書き込み」が当たり前でしたから…。
大手メーカーが生産の中止をしていく中、ある意味でのチャンスがここにあるのでしょうか。