磨きのプロ「小林研業」に学ぶ、意識の高い作業者の育成方法

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新潟県新潟市の「小林研業」は従業員数名の小さな町工場です。
アップル社の「iPod」のケースの鏡面仕上げをした工場で、その評判はみなさんもご存知でしょう。

会社は決して大きな近代的な建屋ではなく「これぞ町工場!!」と思わせる佇まいですが、仕事の技はトップレベル。

社長のポリシーは「数を上げることよりも自分の作業をした製品には責任を持てるようにする」。
これはどの会社でも通じる事ですね。
高いレベルの仕上がり(担当する仕事)を維持してこそのプロですから当たり前といえば当たり前です。
この意識を社員全てまで浸透させる事ができれば良いですが…。

ただしこのワードを連呼しても声高に叫んでも変わらない人は変わりません。
どうしたら良いか…、これはある意味カンタンに変える事ができるかもしれません。

小林社長のおっしゃることには「普段の仕事よりも本人の力量を越えた仕事を任せる」という事です。
失敗覚悟で任せるのですが、本人が「立ち直れない」程のダメージを与えては逆効果になるそうです。
わざと失敗をさせてその対策を本人に考えさせることで、「工程内の作業順序などの見直し」や「工具(冶具など)の使用方法の工夫」が図れるというものです。
本人のスキルアップにもなります、普段よりもレベルの高い仕事を任されることで「さらなる技術の習得」「各工程の作業管理」にも繋がります。

どんな作業やサービスなどでも仕事を全て一人でこなすわけではありません。
そうなると全体というよりも「一つの部分・部門のみ」に専念することになる事が多いでしょう。
一つの工程のみに携わっていると「今日は曲がりが多いな」とか「ちょっと柔らかいな」などと前工程の出来栄えが良く分かります。
しかし自分の技量を過信して慢心するようになると「後工程の作業への配慮が無くなってしまう危険性」もあります。
リーダーとして工程の管理をするのなら、いくつかの工程の中の一つでもある自分の作業も一層高品質で渡せるようにしておきたいものです。

材料が入ってきて製品となって自社から出荷されるまでは、たとえ途中の工程しか携わっていなくても「自社の製品の品質に責任を持てる意識」が全作業者には必要となるでしょう。
その大勢いる作業者の中でもリーダーとなる人材には、さらに「全てを見渡せる目」と「確かな技量」が必要ではないでしょうか。