「表面張力」:水滴ができる仕組み

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私の場合、クルマにワックスをかけた次の日は必ず “雨!!”
キレイにワックスがけした車は「水」をコロコロと弾いてくれます。
水玉ができるのは「表面張力」が作用していることは皆さんご存知でしょう。

*** 表面張力って…
水滴などの場合、外気(大気圧)と水滴との境界付近では「水滴内の分子」たちがより安定した場所に向かって移動(作用)します。
この際、水滴の内側の方が安定しているの内側へと進む(引っ張る)力がはたらきます、これは液体特有の性質でなるべく表面積を小さくして安定しようとする力です。

・・・表面張力を「水滴」で比べてみましょう。

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上図のように「水滴」と「外気」の間(境界)付近での水滴内では、水の分子たちは不安定な状況になっています。
中心に行くにつれて分子同士はキチンとまとまっていられます。
当然ですが不安定な分子たちは「まとまりの良い方」へ行こうとします。
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この際、水滴できる面の状況によっても違ってきます。
紙などの吸水性の良いものの上ではコロコロとした水滴はできませんよね。
ガラス面に水を一滴落としたら水滴ができるはずです。
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しかしそのガラス面でも汚れていたら状況は変わります、さすがにキレイな面と比べれば分かるはずです。

この表面張力の作用は「管」のような場所でも同じようにはたらきます。
例えば、スポイトもこういった作用がはたらいています。
一滴だけ垂らしたいときにも、表面張力のおかげで先端に水玉ができるのですから。

また「ハンダ付け」の際には付けすぎたハンダに、そっとコテ先を寄せるとピタッとハンダが吸い寄せられるように付いてきます。
これも表面張力が作用しています、隣同士の接点にハンダが乗ってしまうのもこの作用の影響です。
ハンダなら冷えて固まったときの形状を見ればわかりますよね、コロコロとしているものもあればビシャッとしているものもあります。

「管状のもの」(ストローなど)が水分を吸い上げる「毛細管現象」も表面張力の作用が大きく関わってきます。

*** 表面張力の応用先…
「撥水剤(ワックスやウィンドコーティングなど)」「アメンボの足の構造」「シャボン玉」「塗装技術」などがあります。
こういった応用にはそれぞれの仕組みや素材の違いなどもあります。
(電気技術、溶剤などの使用、温度の調整など)

表面張力とペアのように出てくるキーワードに「界面張力」というものがあります、これはモノとモノとの境界で起きている現象をいいます。(表面張力はモノと大気との境界を主にいいます)
「安定したA」と「安定したB」の境界で「界面張力」という作用がはたらいています、このときお互いは混ざることなくそれぞれが安定した状態でいることができます。(モノ:液体・固体など)

洗剤の中には「界面活性剤」が含まれていて親水基(水になじみやすい)と親油基(油になじみやすい)があります。
「水」「布」「汚れ」などの境界で作用して「油(脂)汚れ」を乳化して引き離して包み込んだり、布地に浸透して他の汚れを引き離すはたらきをします。

「境界」に作用する力もあればそれを解消させる力もありますが、人はそれを上手に利用しているんですね。