精度の高い情報を活用して身の安全を確保する時代。

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最近の異常気象は「いつ」「どこで」「どれくらい」がつかみづらい恐ろしいものへとなっています。

気象観測にはアンテナよりマイクロ波を発射して雨雲のなかの雨滴に反射して戻ってくる電波を観測しています。
私たちもPC・スマホなどで気象レーダーのチェックができる時代です。

現在使用されている気象観測レーダーはCバンドという波長を使用したものです。
波長は「Sバンド」「Cバンド」「Xバンド」と種類があります。
いまXバンドを使用したレーダーの利用が精度も高く注目されています。
このXバンドMPレーダーによる雨量観測技術の研究開発は、独立法人:防災科学技術研究所を起点に行われています。
(MP=マルチパラメータ…2方向のレーダー波を使用しているので「複数要素からのデータ観測」という意味合いでしょうか)

現在、気象庁の使用しているレーダーでの観測は「水平偏波方式」で行われています。
この方式では雨が降っている状況は観測できても「雨滴の大きさ」と「降雨の強さ」で、電波の受信の見極めに誤差が発生してしまいます。
地上観測地点から得られるデータの精度と、レーダーからの受信電波データの解像度とを照合し補正して降雨予測として使用するには時間もかかってしまいます。

XバンドMPレーダーでは「垂直偏波方式」「水平偏波方式」の2つを使用しています。
雨滴は上空から落下する際には円い形状ではなく、鏡餅のような潰れた形状で落ちてきます。
この形状になった雨滴に水平・垂直の両電波を使用して観測すれば雨滴の大きさの区別もつきます。

雨滴が大きくなるほど落下の際に空気抵抗で潰れる幅が広くなるので、受信電力も垂直のデータに比べて水平のデータが大きくなります。
(雨滴が小さい場合は落下時には大きさの変化はあまりない)

雨の降り方(雨量と雨滴の大きさ)による天候の傾向もデータが多ければ予測判断をする材料としては精度が格段に上がります。

現在のレーダー観測では460kmもの範囲を観測できますが、XバンドMPレーダーでは約80kmと範囲が限定されます。
さらにレーダーの大きさも従来の1/4程度でコスト的にも優れています。

従来のレーダー観測では雨の降り方(弱~強)に関わらずデータ採取出来ましたが、XバンドMPレーダーでは弱~中程度の雨の観測には優れていますが、強雨での観測では電波の受信面に弱点があります。
そこはレーダー設置間隔を増やすことでお互いをカバーして補うことができます。

さらに雨雲の移動速度や方角の予測も精度が向上さているのでわれわれにも大変ありがたいものになっています。
安全確保のためにもこういった情報を活用しましょう。

最近のゲリラ豪雨の予測にも役立つ「XバンドMPレーダー」のデータは国土交通省の”XRAIN”で見られます。
XRAIN[XバンドMPレーダ雨量情報]