電着塗装によるキレイな仕上がり

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最近のクルマはボンネットを開けても中が大変キレイです。
一昔前のクルマというとボンネットを開ければ油汚れなどでちょっと大変な思いをしました。
最近のクルマはパーツ一つ一つのクオリティが高いのですべてがキレイに収まって見えます。

*** 材料を選びますが便利な塗装方法…
自動車のパーツや下地塗装、DIYで使用する金属パーツなどの塗装には「電着塗装」(カチオン塗装:※)という方法によってキレイに仕上げられています。
※ カチオン:プラス電荷(イオン)のことで、マイナスの側は「アニオン」といいます

水溶性の樹脂塗料に電気を流して、その中に被塗装物を浸すことで「正極・負極の電荷を作り」正極から負極への移動により塗膜の形成をさせる方法です。(静電気のような働きです)
これはメッキによく似た方法ですが、できあがった塗膜が「金属」ではないので塗装と分類されます。
電着塗装は、乾燥や焼付け処理が必要になるので熱に弱い材料(樹脂製品など)には不向きとされています。
熱に弱い材料に対しては「樹脂塗装」が有効です。
※ 常温による乾燥が可能なため

*** 特徴と注意点…
材料には導電性が必要であることと焼付けの際の温度(約180℃前後)にも変形せず耐えられることが求められます。
(焼付けの際の温度は塗料の種類によりますが “焼付け” というだけあって高温での処理が必要になってきます)

均一で薄い塗膜を形成するため凹凸のある材料にもキレイに塗装できるのが特徴です。

電圧の変化によって塗膜の厚さが変更できる、スプレーで行うよりも色ムラの発生が少ない。
(奥まった部分などスプレーでは対処できない場所[角の内側、狭小空間内など]への塗装が可能)

水溶性の塗料を使用することで環境問題への配慮に貢献できますが、溶液槽の管理(色あせ・劣化・量)が大変なことがネックとなります。

設備や材料の管理などでコスト面(イニシャルコスト)のウェイトが大きいので「大量生産向き」ではあります。
(単色で一つの溶液槽が必要なことがコストがかかる要因の一つ)

「防錆効果が高い」「薄い塗膜」が得られることや、他の方法に比べて「短時間で塗装ができる」ことや「塗料の損失率が少ない」こともメリットに挙げられます。

よく買い物の際には「静電気でビニール袋」がピッタリと付いてイライラします。
でもこの作用は塗装という分野に応用されて大変効果的な働きをしてくれるものなんですね。