バイオミメティクス02 サメ肌編

サメ肌

海や川などのあらゆる水辺に生息する魚は、泳ぐために独自の進化を遂げてきました。
種によって水の抵抗を減らす、あるいは利用することを効果的に行っています。
今回お題にあげたサメの仲間もその1つです。

サメの仲間は「サメ肌」と呼ばれる硬くて鋭い鱗を持っています。
ちょっとお高いお蕎麦屋さんなんかでワサビをするときに使うあれです。
このサメ肌は頭から尾に向けて倒れています。
つまりサメの皮を頭から尾に向けてなでるとツルツルしていますが、逆に尾から頭になでるとザラザラしているというわけです。

この鱗にぶつかった水は鱗と鱗の間の溝で渦を作り出します。
この渦が鱗の上を流れる水の通りをスムーズにするのです。
これはつまり水の摩擦抵抗を減少させるのに一役買っているわけです。
このサメ肌のような流れる方向に沿って多くの溝が並んだ構造をリブレットと言います。
サメのサメ肌に関していえば最大で8パーセント程水の摩擦抵抗を減らしているといわれています。

サメ肌で有名になった物といえばサメ肌水着でしょう。
従来の水着に比べて水の摩擦抵抗を7パーセントも軽減し、シドニーオリンピックでは競泳で出た世界新記録13個のうち12個がサメ肌水着でした。
現在は規則改定によりサメ肌水着は使えませんが、サメ肌を取り入れたのは水着だけではありません。
ビニールシートにサメ肌加工を施しレース用のヨットの船底張り付けたり、ボーイング社の飛行機にもリブレット構造処理を施すなど様々なジャンルでサメ肌を活かそうと試みられています。
ルフトハンザ社のエアバス社製の飛行機にもリブレット加工を施した際の試算によると空気抵抗低減効果により燃費が1パーセント向上するという結果がでました。
たった1パーセントと思うかもしれませんが、日本円にして年間100億円ほどのコスト削減につながると試算されているから驚きです。

またサメ肌リブレットにはフジツボや貝、藻などの付着物が付きにくい利点もあるとされています。
これを利用して海にやさしい船底の付着物対策ができると期待されています。