ガレージキット今昔

作業イメージ
(写真はイメージ画像です)
今は「オタク文化」が一般に浸透し、アニメやゲームなどの
塗装済みの精巧な完成品がお手軽な値段で購入できる時代になりました。
ですが一昔前は、そういったファンの人たちは血の滲むような努力をして
「半・完成品」のキットを高額な値段で買って、気合いで作っていたのです。
では、そもそも「ガレージ・キット」って、なんなんでしょう?

ガレージキットとは、小規模の個人レベルで増産・販売する模型などの事を指します。
ガレージで作れる(手軽にできる)という意味から、この名称が定着しています。

今、市場で売られているアニメ・ゲームなどのフィギュアは、
「塗装済み完成品」ですが、基本的な作業工程は昔と変わりません。
では、何が違うかと言えば、製造工程を分業化し、特に仕上げ作業の工程を
海外の工場(最近は国内にも作られる傾向にあります)に設置し、
人件費を低コストに抑える事で、それを可能にしているのです。

以下、簡単な作業行程です。
1・原型師=模型を作ります。(増産しなければ、この時点で一品物として完結です)

2・「型」を作ります。(今回は「レジン・キャスト」に限定します。忠実な複製は数個から数十個で
生産コストは高めですが、手軽に始められる方法です。)
=原型の周りを囲い液状シリコーンゴムを注入、硬化させ主にAパーツ、Bパーツに分けて完成です。(一体成型の場合)

3・複製=A、Bパーツを組み合わせ、空気穴と注入口を作っておき、複製樹脂が型から外れ易くするために離型剤を塗っておきます。そして主に
無発泡ウレタン樹脂や不飽和ポリエステル樹脂などを注入、硬化させる事で
複製を作ります。(2つの液体を混ぜる事で化学反応を起こし、硬化します)

4・下処理=型から外した複製を、あらかじめ塗っておいた離着剤が付着していますので、それを洗剤で洗い落し、A、Bパーツの接地面のバリや気泡の処理、塗装の下地処理を施します。

5・塗装=普通に模型の塗装です。当たり前ですが、この工程はとても手間がかかり
神経も使うので増産するのにはコストがかかるのですが、海外などに受注する事で低コスト化を実現しています。
(複製素材によって相性が異なるので、素材によって使う塗料も異なります。)

というわけで、ざっと作業工程を書いてみましたが、これを低コストで大量生産化を実現させた物が一般に販売されている「塗装済み完成品」となります。逆に子供時代に「工程4」の段階で商品として売られていた「半・完成品」を根性で作ろうとして、「作れなかった・・・・。」