バイオミメティクス03 新幹線編

バイオミメティクス03

バイオミメティクスによるものづくりで我々の日本が世界に誇るものがあります。
そうそれは新幹線です。
新幹線には様々な生物のいいところがギュッと凝縮されています。
今回は500系新幹線に使われた技術を見ていきましょう。

新幹線はただ早く走ればいいわけではありません。
安全に目的地につくのは当然ですが、周りの環境にも配慮しなければなりません。
そこで問題になるのが騒音問題です。
速度が上がれば当然のことですが騒音も上がります。
また日本は土地が狭く居住地区も限られるほか、新幹線も宅地部を進むので騒音制限は世界一厳しいといわれています。
騒音の原因の1つは空気の乱れによって生じます。
自足300kmにもなると、パンタグラフの支柱が作る大きな渦が騒音の原因になります。
そこで目を付けたのが暗闇で音もなく獲物を狩るフクロウでした。
フクロウは風切羽に小さな突起があります。
この突起が小さな渦を作り大きな渦の発生を抑えていたのです。
これを真似してパンタグラフの支柱に細かな凹凸を付けた結果、30パーセントの騒音削減になりました。

音の問題はこれだけではありません。
トンネルに突入する際に入口で猛スピードの新幹線に空気が押されて、トンネル内で圧縮され出口で開放される際に大きなドーーンという音が発生することがあり、トンネルドンと呼ばれています。
これを防ぐのに参考にしたのはカワセミという鳥です。
カワセミは勢いよく川に飛び込み魚を捕まえます。
スーパーコンピューターでシミュレーションした結果、カワセミのくちばしの形状が有効であるとわかり、車体も円形にしたところ、トンネルドン問題は解決。
さらに走行時の空気抵抗が30パーセント減少し、消費電力も15パーセントの節約になりました。