肉眼で観察できないものを捉える「天体望遠鏡」の中身

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季節の良い時期には流星群やタイミングが合えば「人工衛星」「国際宇宙ステーション」などが観察できるときがあります。

これらは望遠鏡がなくても肉眼での観察もできるため「気軽」に夜空を見上げるきっかけになるのでは?
でも「天体望遠鏡」があるともっと見えてくるものが増えますよね。

*** 天体望遠鏡のおおまかな種類…
反射望遠鏡・・・筒内に反射鏡があり入ってきた光などの情報を反射させて集まった情報を接眼レンズで観察するもので、性能を上げるには装置自体も大型になっていきます。(口径の大きなものは性能も高いものとなります)

屈折式望遠鏡・・・筒に対物レンズがあり入ってきた光などの情報が一番集まっている場所でさらに接眼レンズで観察するものです
これに反射望遠鏡の仕組みを組み合わせた「反射屈折式」というものもあり装置自体もコンパクトに出来上がります。(上下反転映像に慣れるまではちょっと違和感があるそうです)

電波望遠鏡・・・光の成分によって観察できる、可視光線よりも波長が大きいものや短いものを観測することで捉えることができる
※ 可視光線以外の光では赤外線やミリ波・センチ波など、紫外線・X線・ガンマ線などを観測することで観察できる

わずかな光の情報をレンズを通して観察する際には、情報を集めるレンズの大きさ(強度)をただ大きくするだけでなく、観察するための「接眼レンズ」の精度がたいへん重要にもなってきます。
微妙な調整やゆらぎ、色のにじみなどの特徴もそれぞれの構造によって違ってきます。

*** すばる望遠鏡の「表面の仕上げ技術」のスゴさ…
望遠鏡というモノの出発点は2枚のレンズによる情報の観察に始まります。
そこで単純に情報を多く取り込んで観測するにはそれだけ大きな口径の望遠鏡が必要になってきます。
またそれに伴い設備自体も大規模になってきます。

レンズの研磨技術や反射鏡の表面の鏡面処理技術はとても高度なものだと聞いたことがあります。

すばる望遠鏡も大きな部材を大型のトレーラーで何日もかけてゆっくりと運んでいったということです。
運搬時のちょっとしたゆがみも組み立てた際には大きな影響を与えてしまうそうです。

反射鏡の表面のクリーニングには二酸化炭素ガスが使用されています。
鏡面の汚れは二酸化炭素ガスを吹きかけることでドライアイスと一緒になって吹き飛ばされるそうです。

研磨精度も平均誤差が0.012μm(0.014μm以下の表面誤差)で、厚さ20mm・8.2mという口径ですので大きさもハンパではありません。
この厚みで口径8.2mというのは構造上ゆがみの発生も大きく、全体の損傷を防ぐために261本のアクチュエーターで支えられています。
また遠い星の観測にはガイドとなるレーザーを使用してゆがみや焦点の調整をするそうです。
いっぺんに入ってくる光を調整することで見え方が変わるのは面白いですよね。

遊びに行った際、望遠鏡を持ち合わせていないときは手のひらを軽く握って筒を作ってのぞくと意外とよく見えます。
大げさですが「即席の望遠鏡」とでもいいましょうか…ちょっとした事で見え方が変わると楽しいですね。