超音波とその利用とは

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写真:「超音波画像診断機」”エコー”と言えばご存知の方もいらっしゃるでしょう。

寒い時期には締め切った家の中で過ごす時間も多くなります。
ふだんは気にならない音などにも気づく時がりませんか?

個人差はありますが、人間の可聴域は「20Hz~20kHz」とされています。(犬や猫は最高で50~60kHzまでを認識)
テレビ番組でも「イルカは超音波を使って情報を得ている」「コウモリは真っ暗な洞窟でもぶつからずに飛びまわれる」(※)という内容をご覧になった事があるでしょう。
では、私たちの生活の中で「超音波」を意識することってあるのでしょうか?
※ コウモリやイルカは人間とほぼ同じ20Hz辺りから始まり、はるか130kHz辺りまでを認識できるそうですよ

*** 一般にいわれる超音波とはどんなもの?
超音波とは人間の可聴域の上限より上、つまり「20kHz以上」のものをいいます。
健康診断などの際に「エコー」といわれる画像診断装置でお世話になった事がある方もいらっしゃるのでは?

*** メガネ屋さんでも大活躍の「超音波洗浄機」ってどんなの?
洗浄液の中で超音波を発生させる振動子が微細振動を起こすことで目に見えない大きさの泡が発生します。
この泡のはじける衝撃で汚れを浮かし取る(剥がすカンジ)のが超音波洗浄機の仕組みです。
また、製造業に多くみられる有機溶剤(従来のトリエタン・塩化メチレンなど)を使用した洗浄工程では、超音波洗浄により「洗浄能力の向上・洗浄液を少量でも効率的に使用できる」ので環境的配慮にもなります。

*** 医療用や工業用としての活用とは?
「超音波」は気体中での伝達能力は低いのですが、水分などの多い部分にはよく伝わります。
こういった力を利用して人体の臓器に超音波を当てて反射してきた音波を画像として処理・標示して診断する方法がとられています。
この方法では「リアルタイムでの診断が可能」「一定箇所の観察・診断に対応できる」という特長もあります。

反射してくる音波の周波数レベルの違いによる画像処理で胎児の「3D画像診断」もできます、X線検査などと違い「被爆」を気にしなくても良いのはうれしいですよね。
これは移動している救急車のサイレンの音が変化する「ドップラー効果」を利用したものです。

この検査においては、体に押し当てて検査するだけですので体にキズを付ける事もなく検査できます。
ただし「肺」「食道」など、中に空気が入っていたりする箇所では診断しづらい面もあるそうです。
また筋肉の炎症や神経の炎症、それらによる痛みの解消にも超音波が利用されています。
(数MHzの超音波振動を与えることで、体表から数cm奥の患部にまで治療ができるそうです)

工業用としての利用では、超音波やレーザーを使用して距離を計測する機器や、構造物の壁などに当てて内部構造の状況(状態)を調べる非破壊検査も超音波を利用した方法です、酸化被膜の影響も受けにくく「溶接」や「ハンダ付け」にも使用されています。

また、超音波の微細振動(約20000回以上/秒)を利用した「超音波カッター」は「食品製造業界」で大活躍です。
ナイフなどの道具による「押し潰す」ような切り方ではないので、デリケートな食べ物の形を崩さずにサイズの均等化も可能になります。
粘着性のある材料(チーズやクリームなどの油脂類[ケーキやパイ・ピザ]やゼラチン[グミなどの菓子])といったものでも、カットした「刃自体」に付きにくく効率も良くなります。
※ケーキのカットではナイフを温めたり、カットする毎にクリームなどを拭きとったり…意外と手間がかかります。

超音波というと何も知らない分野の人には「サッパリ」で、「超能力??」って思うくらいですが身近なトコロで役に立っているんですね。